2024年にPC、Xbox向けに発売された本作。2025年8月、ついにPS5版のリリースされると同時にPC、Xbox版にもアップデートが行われました。発売からずっとプレイしようと思いつつ手を付けられていなかったので、今回のアップデートを機にプレイしました。リアルな演出と息つく間もない怒涛の展開で、映画のようなゲームを楽しみたいという方にオススメの一本です。
ゲームの世界観
精神疾患を抱える主人公セヌア

本作の特徴の一つは主人公セヌアが精神疾患を抱えているということです。ゲーム中ではセヌアが現実世界の敵と戦う姿だけではなく、自身の内なる声との戦いも描かれます。プレイヤーは様々な演出を通じてセヌアの見る世界を体験することになります。
故郷を救うため奴隷商人に立ち向かう

本作の舞台は10世紀のアイスランド。セヌアの故郷では人々がノース人によって奴隷として連れ去られ苦しめられていました。セヌアは奴隷商人に立ち向かうべく、わざと奴隷に扮し奴隷船に乗り込むところからストーリーは始まります。船の行き着く先でセヌアが見るものとは…。
臨場感を高める演出
グラフィックの美しさと迫力

本作のグラフィックは本当に美しく、月並みな表現ですがまるで映画を見ているかのようです。イベントシーンに迫力があるのはもちろん、自分が操作している場面においてもカメラアングルがダイナミックに移り変わり、緊迫感のある映像を作りだしています。

ヘッドフォンで増す幻聴のリアリティ

精神疾患を抱えるセヌアには常に幻聴の声が語り掛けてきます。セヌアの不安を掻き立てたり、セヌアを勇気づけたり、様々な内なる感情が幻聴となって現れます。この演出を最大限に堪能するためにはヘッドフォンの使用がおすすめです。スピーカー環境でもプレイしてみたのですが、幻聴が耳元ではなく前方から聞こえるので没入感が薄れた感じがしました。

シームレスなシーン切り替え

ゲームの随所に挿入されるイベントシーンはとても没入感が高くなっていたと感じます。その要因として考えられるのがイベントシーンとプレイアブルシーンのシームレスな切り替わりです。イベントシーンを見ていたかと思ったら自然とプレイアブルシーンに切り替わってセヌアを操作しないといけなくなったり、逆にいつのまにかイベントシーンに移っていたりします。なので時々、「え?今、自分で操作してるの?どっち?」と感じることがあり、恐らく操作不要なところもコントローラーを動かしていたかもしれません。
余計なものは一切無い

本作はゲームらしい要素が最小限に抑えられています。セヌアにはHPやステータスという概念がありませんし、アイテムや能力成長といったものもありません。そしてゲーム画面からはミニマップやHPバーのようなUIの類は完全に排除されています。これにより常に映画のような画面構成でプレイすることができ、より一層ストーリーにのめり込むことができました。
ストーリーメインのゲーム性
ミスしても直前からリスタート

本作はストーリーを楽しむことがメインですが、所々アクションが求められる場面があります。難易度的にはそれほど高くありませんが、それでも何度かミスをしてしまうことがありました。しかしミスをしても直前からすぐにリスタートできるので、ストレスを感じずプレイできました。
難しすぎないパズル要素

先に進むためにしばしば謎解きに挑まなければならない場面があります。しかしパズルの難易度としては高くなく、何度かトライ&エラーをすれば自然と解けました。ゲームのテンポを損なわず、解けるとちょっとスッキリできるレベルです。
シンプルながら迫力満点のバトル

敵との戦闘は1対1のシンプルなバトルでありつつも、その迫力は唯一無二な仕上がりになっています。特に注目していただきたいのはカメラアングルで、カメラがセヌア後方の近い位置にあります。これは縦横無尽に動き回るアクションには向いていませんが、一つ一つの動きに重みを感じるような本作のアクションにはマッチしていて迫力のある視点で剣劇を楽しむことができました。

セヌアの攻撃手段は弱攻撃と強攻撃のみと分かりやすいシステムです。しかしむやみに攻撃してもヒットしないので敵の攻撃を回避・防御しながら反撃の機会をうかがう必要があります。また敵の攻撃をタイミング良く防御すると、パリィとなり敵の体勢を崩せるので積極的に狙っていきたいところです。

アクションが苦手な人には救済措置もあります。戦闘中セヌアが腰につけている鏡に光が宿ると、敵の動きを一時的にスローモーションにできる技が使用できます。ピンチに陥ってもこれで一気に形成逆転です。しかもこの技は割と高頻度で使用できるのでアクションにあまり自信が無い人でも安心です。
お好みで寄り道も

寄り道要素としてオブジェクトを見つけると伝承が聴けるという仕掛けがあります。しかし私はあまり積極的に探すことはしませんでした。なぜなら本作の魅力は濃密なストーリー体験だと思っていますので、目的から逸れてウロウロ探し回るのがノイズのように感じたからです。本作の世界観を隅から隅まで堪能したい方はお好みでどうぞ。
2025年8月のアップデート

2025年8月にPS5版発売に合わせて、Xbox・PC版にアップデートが行われました。アップデート内容は以下のとおりです。
- Xbox Series Xで60FPSで動作するパフォーマンスモードが追加
- PC向けにグラフィックプリセット「Very High」が追加
- フォトモードの追加
- クリア後に遊べる「Dark Rot」モードの追加
- クリア後に開発者の解説動画を鑑賞できるように
まとめ
感想
本作はゲームとして見ると凝ったシステムは無く、進行も一本道なので物足りないと感じるかもしれません。しかし豪華な映像・音響を駆使し徹底的に磨き上げられた演出は、本作が物語を観せることにフォーカスしていことを納得させる仕上がりでした。またクリアまでの時間は長くはありませんが逆に言うとそれは密度の高いゲームであるということで、プレイ後には大きな満足感を得ることができました。
今回、私はXbox Series Xで「パフォーマンスモード」でプレイしましたが、映像のカクつきや粗さは全く感じませんでした。アップデート前にフレームレートが気になって敬遠していた方は、是非この機会にプレイしてみてはいかがでしょうか。
こんな人にオススメ
- 迫力のある映像や音響を体験したい
- ストーリーに集中して楽しみたい
- プレイ時間は短くても濃密なゲームをしたい
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